従来、骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤)に対する手術は、弱くなった筋膜や筋肉を縫い縮めて補強したり子宮を摘除するなどの方法が行われてきましたが、すでに弱くなってしまった組織の補強であり、再発率が比較的高くや膣管が狭くなるといった欠点がありました。
近年その欠点を補うべく、弱くなった支持組織をポリプロピレン素材でできたメッシュ状シートで補強し、脱出する臓器をハンモックのように支える術式が開発されました。TVM手術と呼ばれており、本邦でも広く行われております。
手術侵襲、再発率の面からTVM手術の有用性が高いと判断し、当院でも積極的に行っております。経膣的に行うので、おなかを切る必要はありません。基本的に子宮は摘出せず温存します。足の付け根の皮膚に5mmほどの切開が数か所必要ですが、小さな傷であり皮膚を縫う必要はなく抜糸の必要もありません。
膣前方TVM(膀胱瘤)
膣と膀胱の間にメッシュを挿入します。
膣後方TVM(子宮脱・直腸瘤)
膣と直腸の間にメッシュを挿入します
手術前後の流れ
手術の希望がある場合には、外来にて術前検査を行い、手術日程の相談をさせていただきます。手術の前日に入院していただき、経過順調であれば術後3-5日目の退院を予定しています。
術前後に排尿状態のチェックも行います。術後約1か月間は重いものを持ったり、踏ん張ったり、激しい運動などのお腹に強い力を入れることを控えていただく必要があります。