超音波内視鏡検査(EUS)とは,内視鏡を用い超音波を体内から送受信し消化管壁の内部構造や周囲組織・臓器などの超音波診断を行う検査です(図1)。今回は主に消化管における超音波内視鏡検査について記述します。
超音波内視鏡検査は、消化管(食道・胃・十二指腸・大腸)における粘膜下腫瘍といわれる病変やがんに対して行います。実際の検査法ですが、通常の内視鏡検査とほぼ同じです。内視鏡を病変の近くまで進めた後、消化管の中にお水をためて超音波のプローブをあてる方法と、内視鏡先端に装着したバルーン内に一時的に水を貯めて観察を行う方法があります。精密検査になりますので、検査時間は、通常の内視鏡と比べ多少長くなります。
どうして超音波の検査を行い腫瘍の深さや性状を調べる必要があるのでしょうか。それは通常の内視鏡検査では、粘膜の表面しか観察することができないからです。粘膜下腫瘍に対する場合とがんに対する場合の2つの目的に大きく分けられます。
- 粘膜下腫瘍に対して行う場合
- まずは粘膜下腫瘍についてです(図2)。粘膜下腫瘍とは、粘膜より下の粘膜下層以深を主体とした腫瘍です。超音波内視鏡検査を行うことにより、病変の拡がりや悪性度などの診断がある程度可能になってきます。その他CTなどの検査も合わせて考えることですが、治療をするべき病変なのか、それとも経過を見てもいい病変なのかを判断する大事な検査になります。
- がんに対して行う場合
- 次にがんに関してです(図3)。超音波内視鏡検査は主に早期がんといわれる粘膜下層より浅いがんにたいして行われます。なぜなら消化管の臓器において、がんの浸潤が粘膜筋板という層を超えてくると、リンパ節の転移の可能性が途端に増えてくるからです。超音波内視鏡検査を行うことにより、粘膜層にとどまる病変は内視鏡治療の適応、粘膜筋板をこえて粘膜下層まで浸潤する病変に関しては、外科的手術を行うことによりがんの根治を目指せます。つまりこの検査は内視鏡か手術かの治療の選択について迷うような症例に対して行われることになります。