インスリン効果値とCIR
インスリン効果値(インスリン1単位で血糖値がどれだけ下がるのか)
下記の1700ルールを用いると大体の計算が出来ます。ただ、あくまでも個人差がありますので、実際インスリン注射後に自分で血糖値を測定してより精度を高めていく必要性があります。
例:朝6、昼6、夕6、就寝前12単位であれば
1700÷30≒56.7
よって、1単位でおおよそ50mg/dL下がると考えます。
CIR(Carbohydrate-to Insulin ration追加インスリン1単位で処理できる糖質量)
下記の500ルールを用いると、インスリン効果値と同様に近似値を求めることができます。
例:朝12、昼12、タ12、就寝前14単位であれば
500÷50=10g /単位となります。
要するに糖質40gを含むおにぎりを食べた時には、4単位程度の超速効型インスリンをうてば良い事となります。
1型糖尿病とカーボカウン卜について
一般的な糖尿病の食事療法は、食品交換表を使ったカロリー制限食がメインです。日本人の食習慣にそった栄養バランスのよい食事は栄養状態の改善や肥満の解消には有効です。ところが、食後血糖値に最も強く反映される炭水化物量が一定でない場合、特に1型糖尿病患者さんにおいては、血糖値の管理は不十分になる場合があります。
アメリカにおいて実施された1型糖尿病患者を対象としたDCCT研究では、食事療法として炭水化物摂取量を一定にする、あるいは炭水化物摂取量に応じて食前の速効型インスリンを調整するというカーボカウン卜が用いられ、良好な血糖値が達成されました。これを受けて、アメリカにおいてはカーボカウン卜は標準的な食事指導法として用いられています。血糖値が不安定となっている1型糖尿病患者さんにおいては、部分的にでも積極的にカーボカウン卜の導入を考慮すべきと考えます。
基礎カーボカウントと応用カーボカウント
基礎カーボカウン卜とは、糖質摂取量を一定にすることで食後血糖を安定させることを目的とし、全ての糖尿病患者が適応となります。
応用カーボカウン卜とは、糖質摂取量に応じて投与インスリン量を変化させる強化インスリン療法中の糖尿病患者が適応になります。応用カーボカウン卜を習得することで、食後血糖の安定、低血糖の回避、何より食事の自由度が大幅に向上します。