ボンジョルノ! 今日の英語は難しいですよ。聞きなれないと思いますが、avertです。藤岡副院長が良く言っているdiversity とか大学のuniversity という言葉と一部共通の語源をもっている言葉です。これはあとでまた話しましょう。
さて、私は高校の頃ものすごくネガティブな日々を過ごしていたという話をこないだしましたね。そのころから少し感じていたんですけど、人間ってどっちかっちゅうとネガティブ寄りにできているんじゃないかなって思うのです。
たとえばみなさん原始人になったと思ってください。子供が病気 になったので、それを治すために森の中にある薬草を取りに行きたい。でも森の中には虎や毒蛇がいるかもしれない。楽観主義っていうのは「んなもん、いるわけねえよ。いても出てこねえよ。なんとかなるよ。」ていう感じです。ネガティブな考えの人は「きっと森に入ったら虎にやられるか、毒蛇にかまれて死んでしまうに違いない」って考えるわけです。悲観的な人はそこまでで終わりかもしれません。でもポジティブ思考の人はどうかというと、まず悲観主義者と同じようにネガティブな考えを抱きますが、その後自分なら克服できるはずだと信じて、対策を立てるのです。長老に虎や毒蛇がどのあたりからよく出没するか、何時ころ活動するか教えてもらったり、毒蛇にかまれたとき効き目のある薬草と か、トラを追っ払えたひとがとった行動とか、、、可能な限り生き延びれる対策を準備して、勇気をもって森に入っていくのです。こうやって生存競争の淘汰を勝ち抜いてきた人間は、やはり脅威に対する準備としてネガティブ寄りにできていて自然だと感じていたのです。
先日見つけた本を読んでいて、びっくりしました。「人間はどちらかというとネガティブ寄りにできている」と書いてあったのです。おれと同じことを言っているやつがいる!と思いました。それは心理学者・山口まみさんの書いた「隠れネガティブを解消する本」です。詳しい内容は省略しますが、心理学的な側面から人間は元来ネガティブなんだと主張していて、自分の仮説を応援してくれる人が一人増えたと、嬉しくなりました。
また話は変わりますが、英国にリチャード・ワイズマンという面白い心理学者がいます。このひと20代は国際的に活躍するマジシャンだったんですよ。途中からマジックは人間の心理の隙につけこんで驚かすものだから、心理学を勉強したくなってマジシャンを辞めちゃって、心理学者になっちゃったんです。大規模調査や、長年の追跡調査をしつこく行うことで有名なひとです。ワイズマンがあるとき面白い調査をしました。年始に目標を立てた5000人を調査し、達成できた人とできなかったひとをさまざまな側面から比較したのです。結果は20%程度のひとしか達成できなかったんですが、その分析がまた興味深いんです。達成できなかった8割の人が、どんな考えを持っていたか、代表的なものがいくつかありましたが、今日はひとつだけ紹介します。それは、「ネガティブな考えから目を背けるタイプのひと」が、目標達成できなかったという分析結果です。これから起こるかもしれない悪い状況が頭をよぎりはするが、目をそむけてしまう。・・・・うーん、ありがちですよね。逆に目標を達成できた人はネガティブな考えから浮かび上がったリスクに対して、いろいろな対策を練ったり、準備をするタイプの人なのだそうです。さっきの森の中の虎と大蛇に立ち向かう準備をする考えに似てませんか。。。。
リスクから目を背ける、、、、の「目を背ける」を英語で言うときavert を使います。「リスクから目をそむけないで」は、Don’t avert your eyes from the risk. です。vert は、「方向」とか「向ける」みたいな意味を持っています。接頭辞のa は「離れて」です。藤岡副院長が好きな言葉のdiversity はもともと「分岐する方向」という意味です。そこから多様性という意味に使われます。今週はavertを是非覚えてください。そしてネガティブな想定を受け入れ、そこから目をavertしないで、ポジティブな行動につなげていってください。
院長 金平永二 記