どっちとも感情っていう日本語の英語訳です。でも少し違う意味かもしれないと私は思っています。feeling とemotion。
Feelingは、自分で感じ取っている感情。emotionは、表現されている感情。ちなみにイタリア語では前者はsentimento 後者はemozione。
ドラマの1シーンがありました。彼氏がバイクで事故って重傷を負い、入院した病室でのシーン。彼女が着のみ着のままで駆けつけます。包帯ぐるぐるの彼氏は、彼女が入ってきた瞬間元気な方の手でピースサイン。それを見たとたん、彼女は泣き崩れながら、彼氏を叩きます。「バカ、バカ、何でこんな怪我なんかするのよ! あれほどバイクの運転気を付けてって言ったじゃない!」 怒りがさく裂します。
彼女の感情は、feelingとemotionの二つが混在しているように思いませんか?ホントは不安で不安で大急ぎで病院に駆けつけ、彼氏を見た瞬間、生きていてよかったという安堵が支配します。これらはfeelingです。そして次の瞬間なんでこんなに心配かけたのよという怒りに激変します。そこで表現されるのがemotion。
このシーンを見て、私はこれまで自分のfeelingをひとにわかってもらえなくて、その後に来るemotionだけ表現して失敗したことが多くあるなと思いました。本当はさみしい感じとか、がっかりした感じだったのに、怒りだけ表現したり。。。。本当は悲しい気持ちだったのに、相手にいらいらをぶつけてしまったり。。。。は~~~(ため息)
患者さんからの表現で、emotionの部分だけに反応して失敗したことも多々あるなと反省しています。患者さんの多くはemotionの前にfeelingを抱えているような気がします。病気に対する不安がそれだと思います。それがさまざまに形を変えてemotionとなって私に投げかけられてきます。たまには怒りになって私にぶつかってきます。その怒りに対してだけ反応したら、ますます悪循環になってしまうのです。
まずは、feelingがどんなものだろうと気遣って、それに寄り添う言葉をかけるだけで、患者さんのemotionが必要以上に走り出すことを軽減できそうな気がしています。ちょっとしたことでも不安なのが患者さんの心理。そんなの全然平気ですよと言う前に、「ああ、それは心配になりますよね。わかります。」とfeelingに対して一声かけるだけで、どれだけemotionが和らぐことか。
同じようなことが私たち仲間の間でも通用するんじゃないかなと思います。自分のemotionを表す前に、いったいそれの原因となったfeelingてなんだろうと自分を見つめ、それを表したほうがうまくいくこと、あるんじゃないかなと思います。あるいはほかのひとのemotionをemotionとして受け止めてあげて、それの原因となったfeelingは何だろうと思ってあげること。これで雰囲気が良くなることが、あるんじゃないかなーと思っています。
院長 金平永二 記
Feeling と Emotion の違い。見事な解説です。さすが言葉の魔術師ですね!
大部分の患者にとって術後の症状はすべて初めての経験です。ある症状が回復に向かっている症状なのか、悪化しているのか、まったくわかりません。そう言ったFeelingの段階での医師や看護師さんの一言は、患者にとってはとても重要です。金平先生から術後にかけていただいた数かずの励ましのお言葉。其れはまさにFeelingがEmotionに変換されないようにとの先生のご配慮でした。技術だけではなく、言葉のマジックで今後も多くの患者さんに救いを!
老婆心。
老婆心さん いつもご声援ありがとうございます。feelingとemotionを考えながらひとと接することは、これからも実行していきたいと思っています。
勝手な独り言を綴りはじめました。まあ、ほんとに根拠がなかったり想像だったりすることも書きますから、びっくりしないでくださいね。でも自分に言い聞かせて効果があったことや、ひとが喜んでくれたことを書きたいと思いますので、少しでもお役にたてたらと思います。
獏之浪語、これからもよろしくお願いします。