オーキッド・ダイバシティ

全豪オープンでも大健闘してくれた錦織選手。ヴァヴリンカに負けはしましたが、最後まで攻めの姿勢を崩さず、すばらしい戦いぶりだったと思います。その錦織選手が、もし200m自由形でも金メダル選手だったら?そしてさらに相撲でも初場所優勝を飾っていたとしたら? 

チャンギ空港からフェアモントホテルに向かうタクシーの中での陽気な運転手の話。彼の子供は11歳。学校では英語をしゃべっている。家では中国語。友達とはマレイ語。驚いた。英語・イタリア語・ドイツ語の3か国語を話せるってのと訳が違う。彼の子供の3か国語は、まったく似ても似つかない言語だ。彼の友達もみんなこのありえない組み合わせの3か国語で自由に会話するという。それがシンガポールだ。さまざまな人種と宗教、言語と文化が共存し、ダイバーシティーの極みを行っている。

日本と同じく少子化問題が深刻化しているシンガポール。しかし決定的に違うのは、言語のバリアが皆無ということだ。言語だけじゃない。文化的バリアもほとんど感じられない。このことは移民の受け入れを容易にする。人口分布不均衡問題を移民により解消できるチャンスがおおいにあるということだ。

ワークショップ1日目の夜、古くからの友人ピーター・ゴウと一緒に彼の病院に行った。ナースステーションで患者とナースの会話が聞こえてきた。患者はインドネシア人。食事の相談だ。メニューにはベジタリアンやアレルギー用のもの以外に、イスラム教用のものもある。これがダイバーシティーに順応している社会だ。文法も語順も気にしている暇はない。とにかく言いたいことを伝えなければ野垂れ死にする。そして異文化を受け入れなければ国の死活につながる。国民みんなが普通にテニスと水泳、相撲の選手なのだ。

日本でもナースや介護職のひとたちを海外から呼び寄せるプロジェクトが進行している。私には、日本のやり方は彼らに日本語を覚えさせているだけのように見える。果たしてそれで永続的なプロジェクトになりえるのだろうか。

ダビデ・ロマントはイタリア人。シンガポール国立大学病院外科教授。彼に招待されendoluminal surgeryワークショップで4つ講演をした。参加者はアジアのさまざまな国からきている。陽気なタクシーの運転手の話を思い出しながら、文法や語順のミスを気にせず力いっぱい英語をぶつけてみた。めちゃくちゃだったと思うが、すっきりした。日本もダイバーシティーを能動的に受け入れなくちゃと強く思った。

                               院長 金平記

  (マレーシア、インドネシア、スリランカからの外科医たちとランチ中)

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