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月別アーカイブ: 7月 2015
獏之浪語(7) 「みんながインベーダーに見える」
今日の英語はcustomとhabitです。どっちも似たような意味です。習慣とか癖っていう意味。たとえば、藤岡副院長が好きな、コヴィーの「七つの習慣」っていう本のタイトルはseven habitsです。Customっていうのは、、、えー松田さん、エアポートにもありますよね。どういう意味でしたっけ。 松田さん「はい。税関という意味です」 そうですね。税関と癖ってなかなか結び付きませんが、実は同じ語源です。封建時代、荘園の王様が小作人から年貢を取り立てたのですが、「なんで俺ら、年貢を納めなきゃいかんのや!」に対して「この国のならわしやから、さっさと納めろ」っていう意味でつかわれたのです。“習わし”と“税”。Customなわけです。 ま、これはさておき、インベーダゲームって知ってる人どのくらいいるんだろー。お~~~。半分以上の人が知らない。事務長知ってる?知ってるよね。(笑)バブルのころメチャ流行ったテレビゲームです。あのころ喫茶店のドア開けると、日本中でインベーダーゲームの音が聞こえてきました。ピシュン・ピシュン。藤岡副院長は学生時代、兼六園下の喫茶店でこのゲームに毎日千円使っていたそうです。ぼくもリヴァージュっていう喫茶店に毎日入り浸って、ひどい日は朝から晩までやってました。(笑) ところがある日ぼくに異変が起きたのです。ひとがたくさん並んでいるところ、、、たとえばこの朝礼みたいな状況で、人の顔がみんなインベーダーに見えてきたのです。よし、この縦一列を撃墜して消したら、上空の悪い奴を打ち落とせる! って真剣に思ってしまったのです。縦横に並んでいるものは、全部インベーダーゲームに見えてきたのです。こりゃやばいと思いましたよ。Habitて恐ろしいもんです。 話は全然変わりますが、ぼくは毎年冬に技術認定審査委員の仕事をしています。2時間3時間の手術ビデオを10本~15本見ます。大変な仕事ですよ。その仕事の内容は「アラサガシ」です(笑)。ひとのビデオをみて、ここがいけない、そこは危ない、こりや落第、とかとにかく減点していきます。正月休みなど一日中このアラサガシをやっていると、このアラサガシがhabitになっちゃうから大変です。どこかの部屋にはいっただけで、その部屋のアラサガシ。ほかの人が書いた文章を読んではアラサガシ。自分の同僚の手術を見てはアラサガシ。家庭に持ち込んだらこりゃ大変です。友達関係、家族関係、崩れること必至。このアラサガシに相当する仕事って実はいっぱいあるんですよね。安全管理なんかもそうかもしれません。上司が若手に指導するときは必ず発生します。気づかないうちにhabitになってしまうことが、怖いんですよ。 え~、今日の英語はhabit, customどっちも癖とか習慣です。仕事上でやむを得ない反復活動が原因で、気が付かないうちにネガティブなhabitが身についているかもしれないと思ったほうが良いです。それに気づいたら、早いうちに意識的に仕事とそれ以外を切り分けるのが賢明ですね。 今日はHabitとcustomでした。 院長 金平永二
獏之浪語(6) 「ぷり プリ pli !」
先週の朝礼で熱唱したので、燃えつきました(笑)。だから今日は藤岡副院長に代わりにしゃべってもらおうと思いましたが、、、、やっぱし院長やってくれって言われました (笑)。 今日はぷりぷりです。pli 。。。このpliを含んでいるイタリア語に、complimentiってのがあります。イタリア人はよく使いますね。「やるな~」とか「完璧ジャン」みたいな感じで使います。褒め言葉ですね。八百屋さんに美女が入ってきてトマトを買うシーン。背中向けている八百屋のおっちゃんにボンジョルノって声をかけます。振り返ったおっちゃん、「ボンジョールノ!」美女の顔を見て両手を広げ「アッ コンプリメンティ!」といった場合は、「おー めっちゃきれいな御嬢さん!」みたいな意味です。 英語でもpliを含む言葉いっぱいありますよ。誰か何か思いつきませんか? (総務人事課の徳武さんが手をあげて、「はい、complete というのがあります。」) おー いいですね。 そうそう complete ていうのはpliを含む代表格ですね。pliがちょっと変形してple になっていますけど、ご名答! 意味は“完成させる”とか“完全な”ですね。このpliってのはもともと“たくさんの”っていう意味を持ちます。たくさんあれば満たすことができますので、満たすとか満ちたとか言う意味も持ちます。イタリア語のcomplimenti!は「完璧ジャン、さっすがー」っていう感じで使うの、納得できますね。たとえば今年のメディカルトピアの目標の中にコンプライアンスを見直すっていうのがありますが、このcomplianceもpliを含みます。“規則を満たしているかどうか”そういう意味です。 ぼくの好きな言葉にaccomplishてのがあります。“達成する、成し遂げる”という意味です。これもpliを含んでいます。これを味わいながら仕事するってのが、楽しく働くコツかなと思っています。なるべくたくさん味わいたいので、仕事をめちゃ細切れにしてしまうのが“オレ流”です。やんなきゃいけないまとまった仕事、たとえば10ページの依頼原稿とか。仕事のプロセスを20にも30にも細切れにしてしまいます。一つだったゴールを20も30も作っちゃうのです。そうするとひとつのゴールにたどり着くまでに1時間しかかからないときもあります。そしてそのたびに「やったーゴール!よしよし」と自分をほめたたえます。これ、なかなかイケる仕事方法ですよ。 先週、医療情報管理課の吉田主任がぼくに相談しにきました。「病理の英語のレポートを読めて理解できるようになりたいんです。」コンプリメンティ! すばらしい向上心。これはしかし壮大なタスクです。ゴールはかなり遠いところに設定されています。ぼくが彼に言ったアドバイスは「ものすごくおっきい仕事だから、まずは胃癌だけに絞ってやるのがいいんじゃねえか。しかもまずは胃癌は胃癌でも、進行度の表現だけ勉強してみるとか。。。。それがわかるようになってきたら、今度はリンパ節転移の表現とか。。。」こんな感じでやれば、そのゴールに到達するたびに達成感を味わえます。 え~ 今日はpliを含んだ言葉ということで、accomplish。仕事を細切れにして、達成するたびに自分にコンプリメンティと褒め言葉を! 院長 金平永二
獏之浪語(5) 「人生のprotagonist」
今日の英語はめっちゃむずかしいですよ。プロタゴニスト。知っている人います?(みんなう~んって考え込む顔) あ~ そうですよね。誰もいないですよね。じゃあ、反対語のアンタゴニストantagonistはどうですか? 薬剤部の小木さん、知っていますか? 「はい、拮抗薬のことです。」 ご名答。さすが小木さん。ある薬の作用を打ち消す薬のことですね。ある作用の反対のことをするものです。頭にあるantというのは、反対のという意味です。Agoというのは作用するという意味、agonistは作用するもの。このagoというギリシャ語からactアクトっていう英語が生まれたんですよ。そうすると、今日の英語、protagonistは「pro」にactがくっついていますね。Proは「前に」。前に出て、アクトするもの。演劇だったら主役って感じですね。つまり主人公のことです。長くなりましたが、今日のテーマは主人公です。 話は変わります。ぼくの人生の中で、高校一年の時は最悪でした。理由はいまいちわからないんですが、なぜか毎日ふさぎ込んでしまって、ひとと話もしたくなくなって、引きこもりっていうか、、、中学からやっていた陸上部の部活もやめてしまいました。学校終わるとすぐ帰宅して家族とも話もせず。。。成績もみるみる学年最下位付近まで落ちました。食欲もなくなってげっそり痩せました。あのころ何があったのか自分でもわからないのです。もう人生が終わるみたいな感じだったような気がします。なんか頭の中がぼんやりした感じでした。そんな中で、ひとりの同級生がある日ぼくを遊びに誘ってくれました。林っていうやつで、37年たった今でも付き合いがあります。いつもは友達の誘いなんか全部断っていたのに、なぜかこの時だけは彼について行きました。そしたら何と福井市文化会館に連れて行かれたのです。そしてそこではさだまさしさんのコンサートが行われていました。コンサートの中ほどで「主人公」ていう曲を彼が歌ったとき、ぼくは泣いてしまいました。自分の人生の中での主人公は自分しかいないんだという歌でした。いろんな人生。小さな物語みたいな人生、複雑な人生、暗く見える人生。。。。どんな人生であっても最後まで中心人物として生きていかなければいけない。自分の人生を主役として抱きしめられるのは自分しかいないんだ。 そのコンサート以来、ぼくは少しずつ変わっていきました。自分らしさを取り戻し始めたのです。自分の人生がどんなものであっても、きちんと向き合って、ポジティブに理解しながら人生そのものを愛していこうという気持ちになったのです。 みなさんの中に、もし何らかの原因で落ち込んだり、ふさぎ込んでしまうようなことがあったときに、いろいろな方法で立ち直るきっかけを探されると思いますが、是非今日の「主人公、protagonist」のことも覚えていてください。 あなたは教えてくれた 小さな物語でも 自分の人生の中では だれもがみな主人公 時折、思い出の中で あなたは支えてください 私の人生の中では 私が主人公だと (さだまさしさん作詞) 院長 金平永二 記