夜の・・・と枕詞がくると、今でも何かロマンチックなことがあるような予感がします。
夜・・・歌う小鳥・・・ナイチンゲール。本当に夜、囀る小鳥がいるのでしょうか。
「夜の・・・窓辺に・・・堅琴のはかなき調べ・・・君は知らずや・・・わが心の糸の・・・まさに切れなん・・・熱き想いに」
夜の・・・セレナーデ・・・漂泊の吟遊詩人。
少年の頃、夜の・・・浜辺で胸に浮かぶままに、出まかせの詩を口ずさんでいたら、
「変な声を出しやがると、海へ叩き込むぞ」と漁師のオジサンに怒鳴られました。
私の育ったところは、瀬戸内海の小さな漁村でした。ロマンが少し、遠くへ行きました。
閑話休題、ラマダーンの話でした。
これは、イスラム教のことばで絶食のことだそうです。ラマダーンの月というのがあって、一か月間絶食をする。ただし昼間だけ、夜は十分に食べるのだそうです。
それでも絶食をすることで、食物を恵んでくださった神様への感謝。食物の大切さ。食べたいと思う自分と対決する心の剛さ。などを確認する効果があると云います。
かの国では、祈りと戒律と生活とが渾然一体となっているのでしょうか。
さて、私はこれを夜・・・やるのがよいと考えています。昼間は食べて、夜は食べない。
夜は全身の休息時間です、胃腸も夜は休息させましょう。
異教の消化器外科医が考えたことですが、この効果は絶大なようです。逆流性食道炎、胃炎などはたちどころによくなります。
朝型高血圧にも有効です。
胃腸の休息で免疫力が上がって、風邪もひきにくくなります。
ダイエットにも有効で、メタボ、肥満、高脂血症、高尿酸血症などは目に見えてよくなります。
女性にとって夢のカーヴィライン・・・
腹が減っては夜眠れないよ、という人には、一歩譲って夕方までに何か食べておきましょう。それでも夜に入って食べなければ効果があります。
名付けて「夜の胃腸休息法」
アラビアン・ナイトのロマン・・・からは遠く離れて、身も蓋もない実用だけのお話となりました。嗚呼。
それでもこれは、あまた世にある健康法の中でもキホンの「キ」だと、私は確信しています。
夜の・・・ラマダーン、おしまい。
(記:山﨑忠光)
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2013年2月末日で退職された、山崎名誉院長が広報誌「福寿草」で記した文章をブログとして投稿しました。
平成元年に旧埼玉草加病院に赴任し、25年間にわたり地域のみなさんの健康管理のお手伝い、地域の医療機関との強いきずなの構築、そして新しい医療制度の改革に貢献されました。
メディカルトピアスタッフ一同、山崎名誉院長の多大なる功績に心から敬意を表します。