悪夢のようでした。昨日のできごとです。予想をはるかに超える大きさの直腸腫瘍。器具の不調や手術習慣の違いもありましたが、かなり無理をして引き受けてしまったことが、この試練を生んだと反省しています。7時間のバトルの末、手術を完遂しました。見苦しく泥臭い手術になりました。学会参加者は時間を過ぎても私の手術を見守ってくれました。会場から中継された音声に、拍手の音を聞いたとき、涙が出そうになりました。マレーシア国立大学病院でのライブ手術。一生忘れないと思います。
一夜明けた今日、鉛のような足を引きずって学会会場に行きました。まだ疲労の色を濃く残した私に、多くのひとが駆け寄ってきて握手を求めてくれました。「きみの辛抱強さに感服したよ」「あんな難しい手術をよくやり遂げたね」。そして主治医のアーマッドが私を待ち受けていました。「患者さんは今朝すごく元気だったよ。そしてきみに感謝の意を伝えて欲しいと言っていたよ。」彼と歓喜の握手をしながら、試練が大きければ大きいほど、あとでやってくる喜びも大きいことを感じました。「エイジにやっと笑顔が戻ってよかった」アーマッドも嬉しそうでした。「きみが笑顔になると僕もうれしいよ」という私たちのプリンシプルを思い出しました。
これからさらに二日間、クアラルンプールで講演を行います。世界中どこへ行っても私たちのプリンシプルを忘れずにひとびとと接し続けたいと思います。
2014年3月7日 院長金平 記